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シンポジウム「多摩の地域持続をめざした歴史資料の保存と活用」終了

NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴんです。

2019年3月10日に開催致しましたシンポジウム「多摩の地域持続をめざした歴史資料の保存と活用」、

先便のとおり代表理事・西村慎太郎が、

「西多摩郡檜原村における歴史資料保全と資源化の実践・課題」という報告を行いました。

レジュメのPDFがご入用の方は当会までご一報頂ければ頒布致します。

なお、レジュメ本文のテキストは以下の通りです。

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2019年3月10日(日)シンポジウム「多摩の地域持続をめざした歴史資料の保存と活用」
於:たましん事業支援センター(Winセンター)
西多摩郡檜原村における歴史資料保全と資源化の実践・課題
西村 慎太郎
はじめに
・シンポジウムの主題「多摩の地域持続」を歴史資料の保全・資源化・郷土史から検討する
・報告者がこれまで関わってきた活動・組織・イベントのノウハウを総動員して、「多摩の地域持続」のポテンシャルを呼び覚ます
・事例として、東京都西多摩郡檜原村を事例とする

機й惴饗爾粒詰廚伴治体史編纂・郷土史
1-1 檜原村の概要
・「檜原村は東京都の西に位置し、一部を神奈川県と山梨県に接しています。面積は105.41平方キロメートルとなっており、村の周囲を急峻な山領に囲まれています。総面積の93%が林野で平坦地は少なく、村の大半が秩父多摩甲斐国立公園に含まれています。村の中央を標高900メートルから1,000メートルの尾根が東西に走っており両側に南北秋川が流れていて、この川沿いに集落が点在しています。(下線部引用者註)」
・前近代〜近代の檜原村:武蔵七党のひとつ・日奉氏の一族である平山氏の居館 / 幕府領(寛文検地771.264石。その他大嶽社領・吉祥寺領) / 古甲州街道として本宿(もとしゅく)に口留番所(吉野家支配) / 幕府御林の設置及び江戸のエネルギー資源供給(寛政年間炭135,164俵出荷) / 近代以降、養蚕の工場化と木炭生産 / 観光産業へシフト
・2019年1月1日現在の人口:1181世帯・2217人
・細貝和寛氏による近年の課題 :ヽ惺仕合(1986 年 3 校の中学校統合、1999 年 8 校の小学校統合)、高齢者(65歳以上)の割合が 49%、自治活動の縮小化、た邑が最盛期の1/3
1-2 檜原村の自治体史編纂
・1971年1月21日第1回村史作成準備委員会⇒3月8日答申書を小泉康作村長へ提出
・基本方針:‖写韻亮蠅琶垰次↓∋駑舛亡陲鼎い導稜А↓B写韻某討靴瓩訛嫉
・1972年10月27日 第1回檜原村史編さん委員会開催
 ⇒三役・議会正副議長・総務委員長・教育委員長・教育長・教育委員3名・文化財専門委員会正副委員長・学識経験者2名・総務課長・教育課長・村史専門委員会正副委員長
・1973年1月13日檜原村史編さん専門委員会発足(村内定住者・村内勤務者)
・1977年6月執筆開始
・1981年3月30日 『檜原村史』刊行
1-3 檜原村の郷土史研究
 ※『檜原村の石仏』1〜3(檜原村教育委員会、1973年〜1977年)や埋蔵文化財報告などの成果もあるが本報告では古文書(アーカイブズ)に限定する
・『檜原村史研究』第1巻1974年11月 / 第2巻1975年11月 / 第3巻1977年3月 / 第4巻1978年3月
『檜原町史研究』論文一覧
号 筆者 タイトル
1 小泉康作 序
1 小泉章徳 桧原村の板碑について
1 小泉章徳 出土した宋銭
1 野中富雄 桧原村の岡部氏
1 鷺山快天 人里五社神社の鐘銘について
1 岡部駒橘 桧原村の交通について
1 小林隆志 桧原村の木炭について
1 浜中銀之助 桧原村上川苔の両墓制
1 唐沢健一 桧原村の伝説
1 岡部駒橘 桧原村の教育史資料の一部
1 宮崎巍 桧原村の気象について
1 数馬房次 桧原村の花と木
1 宇田篤夫 編集後記
2 小泉康作 序
2 小泉章徳 峰岸河内『日記用留帳』写
2 唐沢健一 檜原の伝説 -岩-
2 市川敏 数馬と神戸にまつわる神話
2 市川敏 大嶽神社と大口真神(お神狗様)について
2 田中進 管理面から見た檜原笹野式三番について
2 市川敏 檜原城主平山氏について
2 岡部駒橘 教育部門に関する資料
2 小林隆志 漁業
2 岡部駒橘 檜原村の交通に関する資料
2 数馬房次 檜原の植物
2 小林福義 材木の計算について
2 宇田篤夫 編集後記
3 小泉康作 序
3 野中富雄 檜原村における中世武士の研究
3 浜中銀之助 寛文の御水帳
3 市川敏 檜原村の神社
3 唐沢健一 檜原村の愛宕社
3 長沢利明 笛吹の民間信仰
3 小林隆志 檜原村の養蚕業
3 宮崎巍 檜原村の気象
3 数馬房次 珍しい漢方薬
3 峯岸登 檜原村に自生する植物
3 宇田篤夫 編集後記
4 小泉康作 序
4 野中富雄 中世期日奉平山一族と檜原城平山氏累代の研究
4 市川敏 檜原村の寺院
4 田中進 数馬の獅子舞来由書について
4 小泉章徳 小沢式三番「出はの事」写
4 小林隆志 檜原村の林業
4 唐沢健一 檜原村林業語彙
4 峯岸登 昔の年中行事と娯楽
4 市川敏 「おまじない」について
4 小林福義 祈願民俗について
4 岡部駒橘 学校の日誌と記録から
4 岡部駒橘 檜原にきた「お人形使節」
4 数馬房次 万葉集の植物名
4 宇田篤夫 編集後記
第1巻「編集後記」(宇田篤夫教育長):「今迄に行われた、関係各位の調査研究を集録し、「桧原村史研究 第一巻」を発行のはこびとなった次第です」
第2巻「序」(小泉康作編纂委員会長):「「檜原村史」編纂の中間報告として」
第3巻「序」(小泉康作編纂委員会長):「貴重な古文書や民具等の散失も、極めて懸念されるものがあって、本事業の重要かつ緊急性について、ここに改めて申上げ、多大の困難が予想される今後共、関係者の更に一段のご努力をお願いしたい」
第4巻「編集後記」(宇田篤夫教育長):「この第四巻をもって村史研究集録にピリオドを打ち、愈々この一巻から四巻を基礎に村史編纂にかゝり」
⇒檜原村史編さん専門委員を中心に村史の中間報告的役割を担う
⇒歴史資料の散逸に対する危惧も認識
・『檜原村古文書目録 村の昔を書き残したもの』(檜原村教育委員会、1990年)
1988年5月 檜原村郷土資料館開館⇒歴史資料の収集
1989年4月 檜原村文化財専門委員会に古文書目録編集委託(47文書群)
・歴史学における成果:伊藤好一『近世在方市の構造』(隣人社、1967年):薪炭生産者と五日市問屋の争論
・瓜生卓造『檜原村紀聞 その風土と人間』(東京書籍、1977年) / 第29回読売文学賞(1978年) / 1996年平凡社ライブラリーとして刊行
・『牛五郎日記』1〜8(牛五郎日記研究会、1980年〜1989年):明治19年から始まる宇田牛五郎の日記の翻刻 / 監修:伊藤好一 / 木村龍生・宮田満・増田昭子・酒井耕造
 ⇒木村による神社合祀研究の過程で、増田が木村へ紹介(1979年)したことにより刊行

供й惴饗悉侈遽田家の歴史と文書群の階層構造
2-1 檜原村出野宇田家の伝来と整理方法【目録】
・伝来:『泰成堂書店古書目録』No.91(2018年)に「武蔵国西多摩郡檜原村文書」(2218)が掲載されており、2018年7月に報告者が購入。
・整理方法:ビニル袋一括の文書を上から取り上げた。但し、継紙が剥離していて順番が錯綜していた文書については早い番号に合わせた。販売段階では「武蔵国西多摩郡檜原村文書」という名称であったが、もともとの所蔵先と目される宇田家を冠することとした。但し、宇田家の文書群は『檜原村古文書目録 村の昔を書き残したもの』に「出畑宇田薫家古文書」として収録されているため、今後変更の可能性がある。
・目録編成:点数は115点と少ないため、編成の必要はないものの、出野組長としての文書集積という特徴を生かすため、「シリーズ・システム」論に基づいた機能を軸に体系的な把握を目指す方法を取らず、組織論的な編成を試みた。また、シリーズ「布達・公用控」が宇田家文書の中で最も多いため、敢えてサブシリーズまで設けた。
2-2 宇田家の歴史
・近世出野地区 :南谷十組のひとつ。「澗溪の前後に嶮岨の山を帯びて、中ほどを南秋川疏通し、其岸にそひて一條の往来あり、(中略)民家は十九軒なり」寛文7年(1667)7町1反5畝13歩、12名 / 天明2年(1782)8町1反2畝9歩、20名
・近代出野地区:17名 / 材木・炭12名
・家号:御前(オミャー) / 本家及び神社と関係のある家
・出畑宇田薫家古文書:文書番号1〜183(187点) / 天文元年(1532)正月出野村三島権現草創が最も古い資料
・近代初頭において出野組長・西光寺檀家惣代・三島神社氏子惣代を務めた宇田八十右衛門が当主。明治4年6反4畝、所有炭林3ヶ所。材木売り上げ明治14年630円、同15年402円53銭(出野地区最高)
2-3 文書群の階層構造と内容
檜原村宇田家文書階層構造【割愛】
・サブフォンド「家」:11点(綴2点含む)。点数が少ないため、シリーズ以下は省略。宇田家の家文書に関わるもの。宇田八十右衛門は明治14年に西光寺檀家惣代、明治15年三島神社氏子惣代を務めていたが(文書番号23。以下、括弧内は文書番号)、点数が少ないためサブフォンド「家」に含んだ。明治2年に酒造米高10石で新規に酒造を始めている(53)。明治24年の茅替の傷害事件については『牛五郎日記』にも記載あり(56)。
・サブフォンド「出野組年寄」:24点。近世檜原村23組のひとつ出野組として集積された文書。領主などからの文書についてはここに含んだ。シリーズ「土地」は組内田畑に関する絵図と入会山に関する文書。大沢組と神戸組の山桑伐り出し争論が出野組とどのように関わるか不明。シリーズ「薪炭」は幕末から明治初期の炭生産と流通に関わるもの。24の端裏書に「柏木野組」と記されており、出野組以外の文書が混入している可能性や出野組との炭流通の関係が考えられる。シリーズ「触」は代官所から送られた触と請書。シリーズ「信仰」は寺社関係、シリーズ「その他」は前欠のため差出・宛名や奥書のみのものを編成した。
・サブフォンド「出野組組長」:73点(綴2点含む)。近世檜原村の23組制は明治9年5月2日に字の変更が行われ、13字に改められ、柏木野・出野・下川乗・上川乗組が南郷となった 。以後、字南郷旧出野組となるが、旧出野組長として集積した文書を編成した。当文書群で最も多いサブフォンドであり、その中でもシリーズ「布達・公用控」がほとんどを占めるのが特徴である。特に明治18年・19年に檜原村役場から出野組長である宇田八十右衛門に送られた布達とそれをまとめた公用控が多い。1枚ものの布達であっても綴痕が確認できることから、もともとは綴られていたものと思われる。
・サブフォンド「村会議員」1点:明治15年当選人の請書を提出するよう命じられたもの。
・サブフォンド「南郷学校世話人」:明治24年、「南郷学校」の新築の際、宇田八十右衛門が世話人を務めていたため、新築・開校に関するものを編成した。なお、「南郷学校」は明治7年檜原小学校第一分校(克明学校)として開校し、明治23年小学校令に伴い、南檜原尋常小学校(南檜原小学校)と改められた 。

掘й惴饗悉侈遽田家文書資源化後の状況と課題・可能性
3-1 目録を作り終えての可能性
・2018年12月檜原村出野宇田家文書目録完成
・2018年12月『檜原村史』『檜原村史研究』『檜原村古文書目録 村の昔を書き残したもの』に基づいて資料所在情報作成【別表】
・2019年1月檜原村教育委員会における資料所在の確認・今後の可能性の提案
檜原村教育委員会でのヒアリング項目メモ【ヒアリング当日配布資料】
〔せ慊衒顕什發里Δ繊憖惴饗嫉法拱垰爾虜櫃乏萢僂靴晋妬現餬欧砲弔い峠蠡⊆圓慮従を把握しているか。現状把握調査の予定などはあるか。
◆憖惴饗嫉法拱垰爾亡悗錣觚文書・原稿・古文書写し・調査記録などはどこの機関が所蔵していて、現在の保管・閲覧体制はどうなっているか。
『檜原村史』編纂に関わった人びと(編纂委員など)の資料・メモ・ノートなどはどうなっているか。
ぁ憖惴饗嫉法戮虜栃垰爾陵縦蠅砲△襪。
ヂ柴發廼薪攣砲涼賃里和減澆垢襪。その活動はどのようになっているか。
檜原村教育委員会・檜原村郷土資料館での専門員は配置されているか。
村内の学校教育・社会教育において古文書群を中心とした歴史資料の活用は行っているか。
歴史文化基本構想の策定などを行う予定があるか。
2019年4月施行の改正文化財保護法について対策・対応を検討しているか。
 ⇒「檜原村における歴史資料(特に古文書)の保全・活用についての提案 ver.1」(後述)
・2019年2月檜原村教育長をはじめとして教育委員会と談合⇒2019年度に始動決定
3-2 「檜原村における歴史資料(特に古文書)の保全・活用についての提案 ver.1」策定
・2019年1月25日「檜原村における歴史資料(特に古文書)の保全・活用についての提案 ver.1」策定 / 教育委員会・郷土資料館へ提案
檜原村における歴史資料(特に古文書)の保全・活用についての提案 ver.1
前提
・2018年に『檜原村史』でも用いられた古文書(宇田家文書)が古書店にて販売しており、西村が購入の上、目録を作成。
・古文書の散逸は全国的に見て珍しいことではない。例えば、三重県の場合、『三重県史』刊行後、約30年経て17.2%が散逸・廃棄・行方不明という状況が判明した。
・今回の状況を文化財散逸として問題視するのではなく、今後の保全・活用を推進するとともに、新たな文化資源を学校教育・社会教育の中で掘り起こしを目指す。特に、宇田家文書には近世薪炭生産に関わる古文書が多く、檜原村の「エコツーリズム」推進の歴史的基盤整備に寄与できる。
・2019年3月10日シンポジウム「多摩の地域持続をめざした歴史資料の保存と活用」として宇田家文書の目録編成などを報告予定。
2019年度計画
・歴史講座を2回開催 / 主催は要検討(NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴんor人間文化研究機構基幹研究など。教育委員会の行事として位置付けることも可)
・うち1回は修復の実践やワークショップなども可
2020年〜2021年度計画
[鮖忙駑訴歔粥А憖惴饗嫉法抃悩椹駑舛僚蟶潦稜調査(35文書群)。未整理歴史資料の目録化のためのロードマップ策定
⇔鮖忙駑然萢僉ЦΦ罐哀襦璽弭獣曄,鯑Г泙┐仁鮖帽嶌臓弊果報告会)開催
N鮖忙駑蘇甬據С惺散軌蕁社会教育の場で劣化した古文書の修復ワークショップ(講師はすでに準備)。古文書講座。ボランティア育成。宇田家文書の資料館所蔵分と西村所蔵分の継紙剥離の修復
経費・人材
・2019年度:講座講師謝金及び旅費・ポスター印刷代・資料印刷代などはNPO法人歴史資料継承機構じゃんぴんor人間文化研究機構基幹研究による。会場確保を教育委員会に依頼
・2020年度以降:教育委員会の業務に位置付け得るか、2019年度次第要検討。

おわりに
・2000年代以降、大規模自然災害とともに日常的な「民間所在資料受難の時代」
・視角 А嵬唄崕蟶濟駑禅濬个寮茵
・視角◆歴史研究者としての歴史実践、地方協創の構築
・檜原村での展開は、視角´△涼亙燭箸靴凸椹悗靴討い

西村慎太郎
(人間文化研究機構国文学研究資料館准教授・NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴん代表理事)
・E-mail: haniwa28@hotmail.com
・twitter: @nishimurahaniwa
・Facebook: @shintaro.nishimura.52
・Instagram:@shintaro19690703
・blog: http://blogs.yahoo.co.jp/nishimurahaniwa
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NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴん
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