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神戸大学地域連携協議会第16回「住民主体の〈地域史づくり〉 -平成大合併後の状況の中で-」終了

NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴんです。

1月28日に神戸大学瀧川記念学術交流会館にて、

地域連携協議会「住民主体の〈地域史づくり〉-平成大合併後の状況の中で-」が開催され、

代表理事・西村慎太郎は「地域史づくりの射程 -原子力災害とダム建設-」を報告致しました。

いろいろとご意見を頂いた皆さま、主催者・参加者の皆さま、貴重な機会をありがとうございます。

なお、当日配布レジュメのテキストを以下に貼り付けておきます。

脚注は反映されておりません。

もし必要な方がおりましたら、レジュメのPDFデータをお送り致しますので、

お気軽にご連絡下さい。



※誤字訂正済み

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180128 第16回歴史文化をめぐる地域連携協議会『住民主体の〈地域史づくり〉−平成大合併後の状況の中で−』
地域史づくりの射程 −原子力災害とダム建設−
西村 慎太郎
問題の所在と視角
(‥膰双葉郡浪江町赤宇木(あこうぎ。津島地区)地区記念誌編纂に関する報告のピンチヒッターなので、福島県に関する話題を提供する
◆崕嗣閏臑里痢卉楼荵砲鼎り〉」というテーマに則した視角のうち、報告者の住む地域についての視角を,箸垢蟾腓錣擦
J神の大合併後というテーマに則した視角を´△箸垢蟾腓錣擦

課題設定
(鷙霄圓関わっている福島県浪江町請戸(うけど)と双葉町両竹(もろたけ)における地域史づくりの活動を検証
∧鷙霄圓寮菫弔生活していた東京都西多摩郡小河内(おごうち)村の地域史にまつわる点を検証
J神の大合併に伴う問題点について新潟県・長野県を事例として分析

機福島県浪江町請戸・双葉町両竹の地域史づくり
1-1 浪江町請戸の事例
・浪江町東端の港町。近世における東廻り航路の寄港地の一つ
・東日本大震災の津波により、約600戸が全壊流出
・死者・行方不明者は、請戸・中浜・両竹(いずれも浪江町内)合せて154人
・原発事故の影響によって避難指示解除準備区域に指定
・2016年2月 請戸地区の紺野廣光氏より泉田邦彦氏に大字誌編纂依頼
 ⇒天野真志氏・松下正和氏・井上拓巳氏・西村による歴史編の執筆
 ⇒蕃山房より2018年5月に刊行予定
・構成・仕様(A4判200頁、800部印刷)
   第吃 望郷編(請戸・両竹・中浜地区の住民から18本の原稿を得る)
    震災編(震災後に行ったアンケート結果の分析。分析担当:天野)
  民俗編(請戸田植え踊りのレポート、紺野氏による聞き取り調査成果)
   第局 歴史編
・津波によって全戸全壊流出、現在は移転促進区域に指定され、震災以前のコミュニティを形成することは不可能に
・請戸地区での大字誌編纂は、自分たちの生活の証を後世に伝え、請戸から離れた場所で「ふるさとを想うため」の手助けになるはず

1-2 双葉町両竹の事例
・町村法施行に伴う明治の大合併で請戸村の一部に
・昭和の大合併で両竹地区が浪江町と双葉町に分かれて編入(浪江町両竹・双葉町両竹)
・東日本大震災では死者53名・行方不明者1名(のちに関連死128名)。原子力災害では警戒区域として指定
・2013年5月28日「帰還困難区域」(町内96%)と「避難指示解除準備区域」が設定
・復興祈念公園などの建設予定
・泉田家資料:2011年8月以降一時立入によって泉田邦彦氏によって救出
・2014年泉田家資料約1100点の仮目録作成
⇒2017年8月11日 泉田家資料2293点の目録作成・編成完了
・人びとの生活空間の上に復興祈念公園の建設予定
 ⇒景観も含め当該地域の歴史の全てが破壊されてしまうことの危機観
 ⇒政策に対する疑問を呈する意味も込めてクラウドファンディングによる事業開始
 ⇒支援募集期限の2月6日まで1日に1回両竹地区の歴史と文化に関するコラム配信

供東京都小河内ダム建設に伴い歴史資料の保全と地域史づくり
2-1 小河内ダム建設の経緯
・町村法施行に伴う明治の大合併で小河内村成立
・留浦(とずら)地区
多摩川沿いと青梅街道の平坦地と後背の御巣鷹山
村高127石余・119軒 / 漆年貢400匁・鮎運上
小留浦の太子堂舞台は慶応元年(1865)再建。東京都指定有形民俗文化財
小河内ダム建設:小留浦・留浦・坂本・雨降り地区が水没、3集落のみ残る
・河内(こうち)地区
村高76石余・53軒 / 漆年貢229匁・鮎運上
小河内神社は近隣6社合祀
金御岳(きみたけ)神社の蔵王権現立像は平安後期の作品(都指定文化財)
 小河内ダム建設:河内・河内向・川崎・吾妻井地区が水没
・川野地区
村高157石余・81軒 / 漆木14126株(最盛期)・鮎運上
明治初期:梨・柿・山葵 / 農間渡世は男が炭焼・材木切出・日雇、女が養蚕・布織
小河内ダム建設:多くの地区が水没
・原地区
村高95石余・65軒 / 漆年貢286匁・鮎運上
寛文年間原島氏が開いたという鶴の湯温泉
小河内ダム建設:湯場・熱海・原・出野地区水没
・大正15年(1926)西多摩郡小河内村に貯水池選定
・昭和6年(1931)小河内村による反対表明⇒説得により了承 / 買収開始
・昭和13年(1938)11月12日起工式
・昭和18年(1943)10月5日戦争激化により工事中断
 ⇒セメント資材の確保が困難
 ⇒村山・山口堰の防護が急務で機械徴用
 ⇒すでに移転がはじまっていたが食糧増産運動のために帰村
・昭和23年(1948)東京都によって建設工事再開
・昭和27年(1952)ダム破壊のため山村工作隊派遣⇒検挙
・昭和27年(1952)東京都水道局小河内線開通
・昭和28年(1953)定礎式
・昭和30年(1955)小河内村・氷川町・古里村が合併して奥多摩町に成立
・昭和32年(1957)竣工

2-2 小河内村における「地域歴史遺産」
・戦前:『小河内貯水池郷土小誌』(東京市、1938年)刊行
・戦後:水道局『小河内貯水池の栞』刊行
・昭和28年(1953)東京都による小河内文化財総合調査⇒郷土芸能の映像化など
・昭和29年(1954)5月東京都文化財保護委員会による山村民具・民家・習俗調査
⇒総合調査の必要性
・昭和29年(1954)12月建造物・埋蔵文化財・民俗資料調査
・昭和30年度より古文書調査(実際数日間の調査 / 伊木寿一、宗京奨三・木村礎ら)

2-3 小河内ダムとその後
・昭和30年(1955)東京都教育委員会「小河内文化財保存活用対策について」
⇒資料館建設を具申
・昭和41年(1966)奥多摩町が都知事・都議会議長へ資料館建設を陳情
・昭和48年(1973)町民1457名の署名提出
・昭和53年(1978)開館
・平成10年(1998)奥多摩水と緑のふれあい館として再開館(東京都水道局運営)
 ⇒小河内に関する歴史は1フロアのみ
⇒旧小河内村住民の子孫に「郷土意識」は惹起できるか
⇒「郷土」から切り離された「郷土史」の必要性

掘平成の大合併と「ポスト震災社会」に関わる論点 −新潟県を事例に−
3-1 平成の大合併の前後の歴史資料をめぐる環境 −新潟県上越市安塚区の事例−
・新潟県における歴史資料保全のボランティア団体・越佐歴史資料調査会
・越佐歴史資料調査会の活動の出発である東頸城郡安塚町
 ⇒歴史資料の保存とともに地域を巻き込んだ「古文書 in 安塚」など報告会
 ⇒地元の方がたを中心とした「安塚町古文書愛好会(講座)」発足
・2005年 「新」上越市の成立:安塚町を含む14市町村合併 / 「旧」上越市:面積4倍
 ⇒市町村合併特例法に基づかない地域自治区による地域協議会設置(根拠法:地方自治法)
 ⇒2013年 地域協議会規定改革 / 大幅な権限縮小と「選択と集中」の推進
 ⇒2017年11月段階、旧安塚町における活動の低下

3-2 保存と利用のバランス
・「保存なくして利用なし」:1992年開館の新潟県立文書館のスローガン
 ⇒越佐歴史資料調査会による実践 / その後の歴史資料保存に活かされる
・長谷川伸氏の指摘の重要性:「次に課題となるのは、史料や文化財を地域社会の中でどのように保存し、具体的に生かしていくかということであり、またその保存・活用の主体を現地でどう構築していくかということなのである」
・被災歴史資料は利用することができるのか ⇔ 文化財保護法改正に伴う活用施策偏重

3-3 郷土史と郷土史家をめぐる展望
・全国的な教員と文化財担当者の多忙化 / 合併によるカバー地域の広域化 / 高齢化
・戦前より郷土史・地域史が稀有なほど豊富な長野県
⇒佐久地域だけで10団体
⇒会員減少・財政悪化・活動縮小という現状 / 「先行き不安の状態」 / 全国的動向
・研究者による意識的な郷土史・地域史の発掘が不可欠(「地域歴史遺産」的視角)
・「郷土史」史や「郷土史家」史の重要性
⇒例えば、東京都町田市自由民権資料館企画展「あるく郷土史家、天野佐一郎 〜一歩の出遊、猶楽しむべし〜」など

おわりに
・様々な要因によって地域社会が突然解体されてしまう場合
・外部の歴史研究者には分からない事象を「遺す」ことができるのは地域住民(「空気感からの歴史」)
・「民間所在資料受難の時代」にどのように地域史づくりを進めて行くか、手伝っていくかが歴史研究者に問われている


西村慎太郎
・人間文化研究機構国文学研究資料館准教授
・NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴん代表理事
・haniwa28@hotmail.com

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